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2014年6月の1件の記事

2014年6月24日 (火)

LXのキーボードのひみつ

HP200LXという機械を御存知でしょうか?
米ヒューレットパッカード社が開発し1994年に販売した小型の情報ツールです。

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HP200LXの詳細が知りたい方はネットで検索してみてください。

私はHP200LX(以後LX)に惚れこんでいまして、購入から10数年以上ずっと使用していました。
(現在は液晶の故障で使用を休止しています)

このLXのキーボードは逸品なのです。
テンキーの付いたQWERTY配列のボタン型のキーで、キーとキーの間に間隔が開いたタイプなのですが、そのキーの形状やサイズ、その構造に伴うクリック感とキーストロークが絶妙なのです。
LXを両手で持って親指でポチポチとタイプしたり、またはLXを机などに置いて片手3本、両手で計6本の指で普通のキーボードのタッチタイプのように入力したりと、場所を選ばず、また比較的快適かつそこそこの速度で長文の入力が行えるスグレモノなのです。

※追記
キーボードでの日本語入力の様子を動画で撮影してみました。

本体基板無改造(倍速化改造はしていません)
液晶は経年劣化で黒く変色してしまったので偏光板を自分で交換
オカヤ・システムウェアのキットで日本語化済み
SDカード8MB使用中(PCカードタイプのSDカードアダプタ使用)
VzエディタとWX2で日本語入力
両手で持っての親指入力と、」机に置いての入力

 

そのHP200LXのキーボードについて、自分なりに調べてみました。

キー配列は基本的にテンキー付きのQWERTY配列、但し通常の上部数字キーの部分には内蔵ソフトのダイレクト起動キーが並んでいます。
(テンキー付きというより、通常は上に並んでいる数字キーを右側に集めた形です)

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電源キーとカーソルキーがキーボード右上にあります。
ここは液晶を開いた時の重心位置に近く、本体を手で持った時に、頻繁に使うカーソルキーが操作しやすい位置です。
(タッチパネルやポインタは無いので、カーソルキーで選択項目の移動等を行います)

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また、ENTERキーとMENUキーは、手で持った時の、ちょうど親指の移動範囲に来るため、操作性を向上させています。

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ここから以下はHP100LXのキーボード部分です。
HP100LXは200LXの前の機種です。
メイン基板や内蔵ソフトウェア等は異なりますが、キーボード部分は色とキートップの印刷以外はHP200LXと同じだと思われます。

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キーボード自体は、横約16cm、縦約8.5cm、

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キーピッチは縦横ともに約10mm、
キートップの大きさは約7mmX4.7mmで、間隔の空いたボタン型。
キーとキーのあいだには、横約3mm、縦約5.5mmの隙間が空きます。
この隙間のおかげで、指がキーを押した時に、隣りのキーまで押してしまうのを防いでくれます。

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キートップの高さはキーの最高部分で1.5mmで、
キーストロークは約0.5mmです。
奥側に沈みこむようにキーが押し込まれます。

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押した時、ちょっと重めの、しかし明確なクリック感があります。

キーボードユニットの裏面にはメイン基板と接するキーマトリクスの端子が出ています。

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では構造を見てみます。

キーボード上にはShiftやFnキーを押した時に入力される文字が書かれています。
ここは薄いプラスチックのシート状になっていて、接着剤で貼り付けられています。
これをめくると、キートップの成型品が現れます。

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テンキーの部分だけ成形色が違うので部品が分かれています。

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キートップの部品は、その裏面の多数のピンで、キーボードユニットに接合されています。
キートップとキーボード本体が、この多数のピンで強固に固定されているために、キーボード全体の剛性を上げる効果が生まれています。
このピン郡は、圧入されているだけなので、裏から全部のピンを少しずつ押して外していく事によって、キートップの部品をキーボード本体から外すことができます。

テンキーの部分だけキートップを外しました。

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キートップの下にはメンブレンスイッチ?タクトスイッチ?があります。
(ドーム加工を施したシートを用いたクリック感のあるメンブレンスイッチ)

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透明なプラスチックシート2枚と白い回路のシート1枚の合計3枚がキートップの下に敷かれています。

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一番上の透明のプラスチックシートには、ドーム型の形状が加工されています。
上から押すと、一定の力でペコンとへこみます。

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裏には導電材(カーボン?)が塗られています。

二枚目は穴の空いたシートで、一番上のシートと下の回路のシートを分けています。

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一番下は導電材でキーボードマトリクスの回路が引かれたシートになっています。

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これらはキートップの部品のピンで位置決めがされています。

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基本的には携帯電話などのメンブレンのタクトスイッチと同じような仕組みです。
ただし、面白いことに、下の画像を見てもらうと分かりますが、ドームの頂点、接点の部分の位置がキーの中心から上にずれています。

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この位置のズレとキートップの成型品の形状が、LXのキーボードの打ちやすさの秘密だと思われます。

テンキーのキートップの部品の画像です。

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キートップは下側から上側に向けて傾斜が付けられています。
裏側にはキーボード本体と組み合う無数のピンが出ています。
裏側の画像を見ると分かるのですが、横から見ると、キートップの裏の、キースイッチを押す突起が、キートップの上側に寄っています。

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キートップ自体はキートップの外側の部品と、細い帯2本でキートップの下側で繋がっていて、キートップを押すと、帯の部分がプラスチックの弾性でシナって、キートップが帯の根元を支点に、下に弧を描くように下がり、裏の突起がキースイッチを押します。

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概略図を見てください。

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小さなキートップを指で押す時、手前から奥の方向に指は動きます。
キートップは下側が2本の帯で固定されているためにぐらつかずに、キーの下側を支点にして、押し込まれます。
この時、てこのように、キートップには、裏側の上の辺りに、下に向けて力が加わり、そこに配置されたキースイッチを押す形になっています。
この機構によって、適度なクリック感と力で、キースイッチは押されることになります。

これがLXのキーボードの打ちやすさの秘密だと、私は考えています。

この構造が偶然の産物なのか、それとも開発者が考え抜いて生まれた物なのか、私には知る術はありませんが、LXの全ての部分のこだわりを考えると、あえてこの構造にしたのだろうと考えます。

日本のPDAを開発している皆さん、これを越える親指うちキーボードを作ってみませんか?

最後に、キートップを繋ぐこの部分は、どこも折れやすいので、注意。 特にスペースバー。

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追記:2015/10/25

・HP100LXのキーマトリクス
キーボードのスイッチの回路の配線に当たる、シートを調べてみました。

回路のパターンが導電塗料(カーボン?)で描かれたシートは、多層になっていて、表面の回路の下にさらに配線があるのが透けて見えます。
(画像クリックで拡大します)

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この上と下の配線は、画像の赤丸で囲った部分で結線されています。

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キーマトリクスの配置を調べてみました。
メイン基板と接する端子の左側を仮に1番としています。

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